第55回 日本てんかん学会学術集会 アート企画「わたしがわたしでいられるところ」
【会期】2022年 9月19日(月・祝)〜22日(木) ㊍ 【時間】10:00〜17:30(最終日は〜12:00) 【会場】仙台国際センター 会議棟2階 展示・レセプションホール 桜 【入場】無料(オンラインでの参加も可能です) 【共催】東北大学病院、第55回日本てんかん学会学術集会 【出展】一般社団法人アート・インクルージョン、社会福祉法人わらしべ舎、特定非営利活動法人 多夢多夢舎中山工房 【企画・制作】 一般社団法人まちとアート研究所 |
ごあいさつアート企画の開催に際して,一言,ご挨拶申し上げます。日本てんかん学会とは,てんかんの研究や診療にとりくむ研究者・医師・医療者などの学術団体で,毎年1回,一同に介して研究成果を発表し,よりよい医療を求めて討論する学術集会を開催しています。2022年は東北大学病院てんかんセンターが中心となり,仙台市で開催することになっております。これまでの学術集会では「てんかんをめぐるアート展」が開催され,てんかんをもつ当事者や支援者,あるいは医療者が創作したアート作品を展示しておりました。今年は出来上がったアート作品の展示ではなく,アート作品を創作すること自体をイベントとして実施することにしました。企画に際し,宮城県を中心に世界に向けて活動するアート・インクルージョン・ファクトリーの支援を頂戴しました。アート・インクルージョン・ファクトリーでは,少数者の立場に置かれている人々が積極的に社会に関わり、参画し、交流して,あらゆる人を優しく包み込む社会の実現を目指しています。今回の企画のテーマ「わたしが/わたしで/いられるところ」という言葉にも,そのメッセージが込められています。てんかんは人類の長い歴史の中で誤解と偏見が蓄積されており,これを変えていくためには草の根運動としての啓発活動が重要です。啓発活動にも完成品は存在せず,啓発活動を皆で考えていくこと自体が,重要です。そして学術団体である日本てんかん学会さえも,完成品を展示する場ではなく,完成を目指して皆が悩み,考え,工夫し,協力しあう場であるとも言えます。期間中は一般市民や当事者のみならず,学術大会の参加者も企画に参加が可能です。アート作品の完成品がどうなるかも興味があるところですが,何よりも,さまざまな立場の人たちが集い,話しあい,悩み,解決策や創造力を高めていくことそのものが,イベントの意義であると信じます。最後になりましたが,イベントの開催にあたりご支援いただいた関係各位に心より御礼申し上げます。 東北大学病院・てんかんセンター長 第55回日本てんかん学会学術大会・会長 中里 信和 |
わたしたちの日常制作をお見せします。多様性やインクルーシブ社会の重要性が強く認識されるようになり、それが世界の「トレンド」にすらなりつつあるように見受けられる昨今、ではいったい何が多様性やインクルーシブ社会なのかと言えば、それは「誰もが自分らしくいられる社会」ということではないでしょうか。
アートによるインクルーシブ社会へ向けた取り組みは、各地で積極的に行われるようになりました。それは端的に言えば「毎日起こる思いもよらない変なこと」と「笑うしかないその事態を楽しみながらみんなでどうにか乗り越えていく」という姿勢をどうにか共有しようとするものであり、例えば障がい者が描いた絵を展示するという従来のスタイルではとうていとらえきれない豊かさと現前性をもった創造活動です。 そうした活動を共有するための手法として、これまでワークショップやアート・プロジェクトという取り組みが行われてきました。アーティストが地域に入り、地域住民と何かを起こすというものです。 そうした中、仙台市を拠点に活動する一般社団法人アート・インクルージョンは、2021年より、福祉サービス事業所の日常そのものを公共空間に持ち込むという取り組みを始めています。2021年3月には5日間、せんだいメディアテーク1階オープンスクエアを借り切って、メンバーに日々のふるまいをそのまま行なってもらいました。また、現在は毎月1回、一番町アーケードで同様の取り組みを行なっています。 今回、伝統ある日本てんかん学会の先駆的なアート企画として、アート・インクルージョンに加え、仙台市内でアート活動を展開するふたつの事業所、社会福祉法人わらしべ舎と特定非営利活動法人多夢多夢舎中山工房にも同様に仙台国際交流センターの会場に日常を持ち込んでもらい、単なる展示物としてではなく、今そこで起こりつつある「生もの」として可視化、体験できる場を生成していきます。 アート企画ディレクター 門脇 篤 (現代アーティスト、一般社団法人まちとアート研究所代表理事) drawing: ikumi@tamtamsha |
上から、アート・インクルージョンによるせんだいメディアテークでのアート企画、わらしべ舎羽黒台工房での制作風景、多夢多夢舎中山台工房での制作風景
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出展者紹介
一般社団法人アート・インクルージョン年齢や性別、国籍、障害のあるなし、アートのスキルや興味のあるなしなどあらゆるちがいをこえてアートを通して全ての人を優しく包み込む社会を実現することを目指し、2010年に活動を開始。現在、仙台市中心部アーケードにある「アート・インクルージョン・ファクトリー」では約40名の表現者が日々制作を行っている。
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社会福祉法人わらしべ舎わらしべ舎羽黒台工房では【それぞれの個性=ユニークをアートに昇華する ユニークアート】というコンセプトの元、創作活動、商品開発、農業作業、レクレーションなど幅広く活動を行っている。2021年仙台市羽黒台に開所し、アーティストとして現在27名が在籍している。
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特定非営利活動法人多夢多夢舎中山工房障がいがあるメンバーが通う、福祉施設。メンバーが自由に「まる」(dot)を描く事から始まったデザインブランド[tam tam dot]は、フライヤーやテキスタイルのデザインを手がけるほか、全国のセレクトショップにグッズを展開中。住宅街の中にある建物で、毎日マイペースに過ごしている。
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